北海道千歳リハビリテーション大学からのお知らせ
川原尚行氏 講演会の様子をお伝えします
5月26日(金)に本学の視聴覚教室において、認定NPO法人ロシナンテス理事長 川原尚行氏による講演会が開催されました。
川原尚行氏は、学校法人淳心学園の理事を令和2年から務めており、この度、本学学生の視野を広げるためにご講演いただくことになりました。
講演会には、本学の3年生のほか一般市民の方30名も参加し、貴重なお話に耳を傾けました。
最初に、川原先生の学生時代から始まり、医者を志したきっかけ、外務省の医務官を辞任しロシナンテスを設立した経緯などについてお話いただきました。
また、国際社会において設立当時スーダンが置かれていた状況、現地で支援をするにあたり、どのように地域へ飛び込んでいったのか、具体的な事例や写真を交えて説明してくださいました。
価値観が違うのは当たり前であること、運営方針についても「こうしてください」と押し付けるのではなく「どう思うか?」とみんなで話し合うこと、いつまでも支援ありきにならないよう主役はスーダンの方にすることなど、活動にあたって大事にしていることについてお話いただきました。
続いて、ロシナンテスで作業療法士として活躍している岩吹綾子さんより、「スーダンで覗いたリハビリテーションの世界」というテーマでお話いただきました。
青年海外協力隊の作業療法士隊員としてスーダンで活動した際の様子、特に訪問先での作業療法について、写真を交えて説明していただきました。
ガスコンロがある家、炭で調理する家など、生活スタイルが異なるため生活動作が環境によって変わること、しかし、それはスーダンだからではなく日本でも同じでそれぞれの生活環境は違うので、それぞれに合わせた作業療法を行う必要があること。
また、「スーダンを調べるとニュースで怖いことばかり出てくるかもしれませんが、日本と同じように家族と一緒に暮らす普通の人々の暮らしがある」と、ニュースの裏側の世界にも視野を広げてほしい、とメッセージをいただきました。
再び、川原先生に交代し、2019年の文民政権樹立の流れや、ロシナンテスで給水所や学校の建設をしたこと、そして現在スーダンで起こっている戦闘や避難当時の様子について説明いただきました。
スライド内では、日本の高校に3年間留学した経験を持ち、現在はスーダンで暮らしている方から、
「スーダンは、まずこの内戦が終わり、そこからどうやって発展させるか考えないといけないです。僕は、日本に何年か暮らし、学んだ言葉があります。それは『これから』という言葉です。日本人はいくら問題があっても解決する方法を探します。日本人のそんな姿を、スーダンの人にも伝えたいと思います。」
というメッセージをいただきました。
最後に、川原先生から、スーダンに再び笑顔を取り戻すために今後予定している支援活動の内容や、スーダン初のリハビリテーションの学校を作りたいという夢についてお話がありました。
講演の終了後は質疑応答が行われ、学生や一般の参加者の方からの質問にお答えいただきました。
最後に、学生から花束が贈呈されました。
川原尚行さん、岩吹綾子さん、今回は貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
<学生アンケートより>
・笑いも交えながらの講演で、あっという間でとても濃い時間を過ごすことができました。今まで国際医療についてよく知りませんでしたが、スーダンの内戦、劣悪な衛生環境、政治や教育、そして医療体制についてなど、様々な状況について知ることができました。貴重な時間をありがとうございました。
・とても遠い国で、その国の人を思って行動していて、とても素敵だなと思いました。自分も、人の役に立てるような人間になりたいと思うことができました。ありがとうございました。
・自分では知り得ない体験をなさっていて、医療者としての考え方が改まる機会でした。また人としての生き方も大事にしてる様に感じとても感銘しました。
・文化や宗教の境を乗り越え、真の平等を追求される先生方の姿勢に圧倒されました。私も、将来向き合う患者様の中に入って仲良くなり、一緒にこれからを考えて行けるような理学療法士になりたいと思いました。
<一般参加者アンケートより>
・貴重なお話をありがとうございました。アフガニスタンにおける中村哲先生と相通じる活動と理解しました。尊敬申し上げます。
・国際貢献を通じて自分の夢を実現された意思の強さに感動いたしました。明るく前向きで、支援をするばかりでなく、自分達で運営をして発展をさせていく考えが欧米にはなくあっぱれです。
・ご無事に帰国できまして本当に良かったです。ローカルスタッフなどご心配しています。またいつの日かスーダンに戻れますよう祈っています。