千歳リハ大 健康コラム

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2017.09.06 更新

膝にはなぜ疾患が多いのか? 1

膝は大腿骨と脛骨によって作られる関節です。ヒトの膝は平均して伸展0度(完全伸展)から屈曲130度まで曲がります。これによってヒトは直立二足歩行を行うことができるようになりましたが、それと同時に膝に様々な疾患を背負い込むようになりました。
ヒトの膝は完全伸展ができることが一番の特徴です。動物の膝は直立しているように見えても実は30度、場合によっては更に屈曲しています(図)。このため、脛骨高原(大腿骨との関節部分)には大腿骨からの荷重が全てかかることはありません。代わりに筋や靭帯の力によっても支えられています。
ところがヒトが直立している時、膝は完全伸展し、大腿骨の真下に脛骨があるため、脛骨高原には大腿骨からの荷重がほとんど全てかかってしまいます。ぼーっと立っている人の膝の後ろに膝を入れると、”かっくん”と膝が崩れてしまいます。これは通常の直立時に筋がほとんど働いていない証拠です。

膝の代表的疾患である変形性膝関節症(OA)は、体重を全て脛骨高原で受け止めるため、脛骨が重さに耐えられなくなって変形してしまった疾患と考えられます。ヒトは完全伸展する膝と引き換えにOAをもらってしまったわけです。そのため、体重増加に気をつけたり、歩行時に膝にかかる荷重を減らすために筋力トレーニングすることが、変形性膝関節症の予防には良いとされています。

A.ヒトの膝の骨モデル
ヒトは立っているとき、膝は完全に伸展する。このため脛骨高原にほぼ全ての荷重がかかる。
B.ブタの膝の骨モデル
ブタやイヌなどは立っていても膝は30度以上屈曲している。

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